トラブルやコンフリクトを解決に導く専門家、それが「薬局メディエーター」。彼らは、単なるクレーム処理担当者ではなく、対話の促進に特化した高度な教育・訓練を受けた人材で、トラブル発生時に中立的な第三者として介入する。
弁護士や裁判官のように法的判断を下すのではなく、当事者間の対話促進者として、双方の共通点を見出す。重大な医療事故、つまり死亡に至るような調剤過誤によって、一度損なわれた信頼関係であっても再構築すること、そしてその経験を組織全体の医療安全へと繋げることが主な役割である。
「薬局メディエーター」がもたらす変化は、『対立』を『対話』に変え、最終的には強固な関係構築へと導くプロセスであり、個人のスキルではなく、組織の「対話のインフラ」として機能させる点に最大の特徴がある。この「対話のインフラ」を組織の文化として根付かせることで、患者さんからも地域からも選ばれ、信頼され続ける薬局を創り上げることが可能となる。
薬局メディエーターの育成モデル

育成モデルは、JAHMの教育基準に準拠した3段階の体系的モデルを採用。
2026年5月より研修を開始する。
•レベル1(全従業員対象)
・Web研修+ロールプレイ
・メディエーション基礎知識を全職員に標準装備
・日常業務における対話品質を底上げ
•レベル2(中核人材育成)
・調剤過誤・ハードクレームに対応
・現場の実践的トラブル対応力を強化
•レベル3(指導者・設計者層)
・教育・普及・組織設計を担う人材育成
・薬局全体の対話体制を構築・運用
従業員リテラシー向上から専門家育成までシームレスに接続し、実装可能な体制構築を支援する。
単なる教育モデルの導入に留まらず、薬局の根幹を支えるインフラとしてメディエーションを組織に定着させる。これにより、個々の薬局のリスク低減はもちろんのこと、カスハラなどへの薬局業界全体の対応力を向上させていく。
今後の展望:診療報酬上の評価と次世代薬局モデルの構築

薬局を取り巻く環境は今後も厳しさを増すことが想定されますが、私たちは『対話』という人間の根本的な能力を組織化することで、その荒波を乗り越えていけると確信している。「薬局メディエーター」の導入は、深刻な社会問題であるカスハラから従業員を守る『組織の防衛』であり、同時に患者さんとの絆を深める『価値の創造』でもある。
将来的には、患者サポート体制充実加算等で評価されてきたメディエーション教育の公的価値を、薬局領域においても診療報酬上のインセンティブとして位置づけることを視野に入れる。
『対話のチカラ』を組織のレジリエンスへ。
地域医療における「対話のインフラ」として、薬局の新たな標準モデル構築を目指す。
『対話のチカラ』を組織のレジリエンスに変え、地域から最も信頼される薬局として、「薬局メディエーター」が、医療現場でその『対話のチカラ』を発揮してくれることを心から期待している。